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2月末ごろから、銀鍼(ディスポ)を使い始めました。
全部じゃないですよ、一部です(コストの問題…)。
銀鍼なんて使うの、鍼灸学校以来。
通常使用しているのは、ステンレス製の鍼。
刺入しやすく折れにくく腐食しにくい、という扱いやすさ、加えてコストの面でもメリットがあるので、今はステンレス製が主流です。
ステンレスと比べて、銀鍼は柔らかくたわみやすいのが特徴です。
ゆえに、肌馴染みがよいと言われています。
私の皮膚感覚でも、柔らかく、ステンレスに比べてほわっとします。
ある先生の話だと、ベテランの患者さんになると、打たれた鍼が銀かステンレスかわかるそうです。
こういう方は鍼の感受性も高いでしょうから、鍼がよく効くんじゃないかな。
銀の鍼があるんだったら、金の鍼もあるでしょう?と思ったあなた!!
そのとおりです。
金鍼は打たれた体験はありますが、自分が打ったことはまだありません。
学校の授業で、先生所有の金の鍉鍼(ていしん。=刺さない鍼)をお借りしたことはあったっけ。
打たれた感想としては、「やっぱ金は違うね〜」。
銀よりさらに柔らかく、ほわっと感がさらにアップした感じ。「補われている〜」感と気持ちよさがすごくありました。
少々マニア向けになりますが、鍼灸(というより東洋医学)には「補瀉(ほしゃ)」という概念があります。
ごく簡単に言うと、「補」は補う・補充すること、「瀉」は出す・取り除くこと。
鍼灸では、患者さんの状態を診て判断し、鍼や灸で補したり(補法)瀉したり(瀉法)していくわけです。
補瀉は相対的なものなので、どこからが補でどこからが瀉か?という定義はなかなか難しいですが・・・
補瀉の方法は、教科書に載っている"標準"的なものから流派や先生固有のものまでいろいろ。例えば、鍼の刺し方、向き、手技、置鍼の時間などさまざまです。
鍼の材質でも補瀉が語られます。
昔は「金鍼は補、銀鍼は瀉」と言われていたようですが、ステンレスと比べると銀が補になりますね。
私の「補」体感では、金>銀>ステンレスとなります。
もっと細かいことを言うと、同じ材質でも、作り手によって変わります。
ま〜、これは鍼に限らず、ですね。食べものとか服でも「あるある」ですよね?
なぜ、最近銀鍼を使い始めたかというと、懐かしみ、です(なんじゃそりゃ?)。
だいぶ前(たぶん去年のいつか)に、勉強会の先生がFBで、銀鍼について書いていたのを読んだんですね。内容の詳細は忘れましたが、ざっくり言うと「銀鍼いいよ」みたいなこと。
「そういえば、鍼灸学校では銀鍼で練習してたな〜」と思い出し、「久しぶりに銀鍼使ってみっか」と。
そうして、今、久しぶりの銀鍼も混ぜて使っているわけなのですが・・・
銀鍼を刺入する感覚は、当然ステンレスとは違っていて、ま〜簡単に言うと、
気持ちいい。なんか和む〜。
今のところ臨床的な「差」は明確にわかりませんが(自分の感覚の差はあるんだけどね…)、しばらく銀鍼混ぜていこうと思ってます。注:銀アレルギーの方は除く。
施術者の「気持ちよさ」も大事ですからねw
いつかはほしい、金の鍉鍼💖
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これは、戦争体験者に限るのだけれど・・・
(こちらからその話題をふることはしないで)施術中の世間話に戦争時の思い出話が出てくると、私は勝手に「あ〜、心許してくれた・・・」と思うのです。
たぶん、そのように思い始めたのは、デイケアセンターでアロマのボランティアをしていたときの経験からじゃあないだろうか。
何かの拍子に、その方がぽつりぽつりと話し出す「若い」ときの話。それに深く結びついている”戦争中”のこと。
その「ぽつりぽつり」のタイミングは人それぞれで、会った初日の場合もあるし、1年過ぎてようやくという場合も。
その方の「ぽつりぽつり」は、施術訪問をするようになって1年を過ぎた春でした。
何がきっかけかは覚えていないのですが、「3月10日」の話を始めました。
当時は「3月10日は3.11の前日」くらいしか思いつきませんでした・・・
東京大空襲があった日です。
その方は、東京大空襲のサバイバーでした。
避難途中会った男性に「そっち(自分たちが逃げようと向かっていた場所)じゃなくて、〇〇(その反対側の場所)へ逃げなさい」と言われて、命びろいをした、という。
「そっち」は焼け野原になった場所で、「もしそっちに逃げていたら死んでいたよ。その人にもう一度会ったら、お礼が言いたい。命の恩人だから」と話された。
そして、目撃された焼かれて死んでいった人たちの形相を真似して「すごい顔してるの」と何度も何度もおっしゃった。
衝撃的な話は、からだがそのまま受け入れるのに拒否るせいかフリーズする。
こんな体験していたら、トラウマにならないはずないだろ。。
今まで使っていた「トラウマ」という言葉が、軽く感じるような。
話には、映像がない、においがない。
聞いている私はそれらを想像するしかない。想像はあくまでも想像で、リアルではない。
・・・でも、話してくれてよかった、聞けてよかった、と思った。
「話すは、放すだから」と言った友達がいた。
ほんとにそうだ。
深くえぐられていればいるほど、話(放)せない。
言語化が難しいし、たとえ言語化できたとしても、あまりに痛すぎて話(放)せない。
言葉のかわりに、嗚咽かうめき声かわからないような「音」や、涙か鼻水かもしくは両方の「水」しか出てこない。
話していない、から、無い、のではない。
あまりに絡みすぎて出せない、ということもあるんだよね。
その方は、その後も何度か、東京大空襲の出来事と死んでいった人たちの形相を話され、ほつれていったモノを放していかれた。
今年も、3月10日が近づいてきます。
Photo by Kelly Sikkema on Unsplash
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訪問施術で伺っている90代の方が、介護付きホームに引っ越されました。
新しい場所は遠くなるし新施設の了解が取れるかなど、継続可能かどうか微妙でしたが・・・
なんとか、引き続き伺えることになりました。
お引っ越しの翌日に行きました。
施設の雰囲気はだいぶ変わりましたが。
お部屋にいても人の気配がちょうどいい程度に感じられて、脳の刺激になるんじゃないかな〜、という印象。
施術後も「お腹が空いた」とおっしゃって。
食べる意欲が出てきたのは喜ばしいことです。
20代〜90代の方々とお話うかがって身体を観させてもらえる、鍼灸師って豊かだなぁ、と。久しぶりの雨空にしみじみしました😌
— はり灸一香堂@神楽坂の古民家 (@hitokadoh894) 2021年2月15日
もう少し若いときは、自分と似たところ・共通項を持っている人を探していた気がする。
そういう人たちも必要だけれど。
「自分と違う」ところのある人たちは、いやがおうでも世界を広げてくれると、気がついた。
知らないうちに積もり積もった「固定観念」「常識」「普通」「偏見」を、実は自分がまとっていたことに気づく。
それらにひびが入って、はらりと落ちる。
その瞬間、私は小さな脱皮をする。
歳を取れば取るほど、「脱皮」の瞬間を大切にしよう、と思う。
両親を見ていると、悲しいかな、柔軟性は減っていく(個人差はあります)。肉体的にも精神的にも。
「脱皮」を面白がれば、硬直化(≒ 老化)を遅くなるんじゃなかろうか。
上記のTweetどおり、幅広い年代の方々に会えるので、
鍼灸師になって以後、脱皮のチャンスは増えた実感。ラッキー!
注:硬直化(≒ 老化)が遅くなっているかどうかの検証はまだです…
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前回のブログにちょこっと書きました、新型コロナ(COVID-19)無症状感染者からも感染る件。
二次発病率は、症状がある人への接触に比べて、無症状者への接触の場合3〜25倍低い、ということがわかった、とのこと。
症状のある人に比べて、無症状者からはある程度感染りにくい、ということですが、全く感染らないわけではないようです。
新型コロナは「無症状の感染者からはうつるのか」最新研究が答えた マスクの必要性は?
かんわいんちょー先生の動画ありがたいです!
頼りにしてます!!
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昨日の2月3日、立春でした。
なんでも2月3日の立春は124年ぶりだった、そうだ。
現代の日本では立春の日は国立天文台の観測によって規定されていて、2月3日の23:59に立春を迎えた、との事。
一分差で、124年ぶりに一日早い立春を迎えられたなんて、歴史的快挙(?)を体験した私たちはラッキーですね!
例年ですと、空の上では「春」を迎えていても地上はまだまだ冬が濃厚ですが、今年は立春後、(東京では)暖かな日が続くようです。
思い返してみると、昨年の今頃日本はまだのんきでしたね〜。
当時、COVID-19の日本の中心はダイヤモンド・プリンセス号で、そこには距離があり他人事でした。
中国からの入国者を制限する国々が出始める中、昨年2月の東京は海外からの旅行者たちが普通にいました。
そのとき自分の身近で警鐘を鳴らしていたのは、中国人の漢方の先生くらいだったでしょうか。
そんなある日、新宿駅あたりですれ違った旅行者の家族から、アルコール消毒液のにおいを感じました。きっと、着ていた服に消毒スプレーをかけていたんでしょう。
当時マスク着用率はそれなりに高かったと記憶していますが、服を消毒するという考えがなかったので、びっくりしましたね〜。「旅行者の方が対策している!」
そのびっくり嗅覚体験で、漢方の先生が不安を煽っているのではないと納得し、その後海外メディアを見る頻度が上がりました。
五感を伴うと、説得力が増しますね…
そのうち、東京でも緊急事態宣言なるものが出て、ディストピア的な東京の姿を見、
「手はしっかり洗おう」とより時間をかけて丁寧に1日に何度も何度も洗ううちに、
まるで自分の体から汚れが湧いているような感覚、「汚いのは自分」的倒錯が起こり、
「あれ?これ不潔恐怖症っぽくない??」と強迫性障害手前の自分に気がつきました。
新コロ厄介だなと思ったのは「無症状感染者から感染る」「潜伏期間が長い」ってこと。
訪問でうかがっている患者さんはほとんどご高齢の方。「自分は死ななくても相手は死ぬかもしれない」という事実に身が凍りそうになりました。
ゾッとすることを「凍る」とか「freeze」とか言いますが、ホントそのとおりですよね。
その認識は今もありますが、「凍る」ことはなくなりました。
凍らないために気に留めていることは、
ですかね。
新コロのパンデミックは現在進行形ですが・・・
新しく不安定な日々の中、
その両方が、からだにとってもこころにとっても拠り所になっている気がします。
年末につぶやいたように、あなたにとって唯一無二のバディ「からだ」とともに、生き生きと生きていきましょう!!
春は来ている!!
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今月の「はり灸 一香堂通信」より。
こんにちは、はり灸 一香堂です。
このメールは、はり灸 一香堂とご縁がありました皆さまにお送りしております。
二十四節気最後の大寒(1月20日)に入りました。今日は大寒らしい寒さですね。
この寒さを利用して、酒や味噌を仕込むのによい時期とされます。おいしい「寒仕込み」のお酒や味噌はちょうど今頃作られているのですね〜。
ただ長期予報では、大寒後は暖かい日が続きそう、との事。
立春ごろは、暦どおり「春」の気配を感じるようになるかもしれませんね。
目覚ましがわりにかけている今朝のラジオで、茨木のり子さんの「自分の感受性ぐらい」という詩を聞きました。
(こちらから引用)
自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ茨木のり子
詩集「自分の感受性ぐらい」(1977刊)所収
ラジオで読み上げられたのは最初と最後の段落だったのですが、ガツンときました。
なのでちょっと調べてみたのですが・・・ほかの部分もドキグサっときますね 笑
「水やり」の一つに、五感を養うことがあります。
五感を養うことの一つに、自分の身体性を感じることがあります。
身体性を感じることの一つに、鍼灸があります。
はり灸 一香堂の鍼灸が皆さんの「水やり」の一つになりましたら、この上なく嬉しいです!!
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