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はり灸 一香堂@神楽坂・西荻窪

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前向きに「今」を憂う

野口体操創始者でもある野口三千三氏の本を読もうと、図書館サイトを検索していたところ、こちらの本を発見。

子どものからだは蝕まれている (1979年)

子どものからだは蝕まれている (1979年)

 

当初読むつもりでいた本ではなく、タイトルのインパクトにつられてこちらを借りてしまいました。

出版されたのは今から39年前の1979年。

このときからすでに「子どものからだは蝕まれている」とは…

ときどき子どものからだや体力に関する調査の報道を見かけますが、いつも大抵「このままでは危ない!」という警告めいた文章です。その危機感は最近のことではなく、もうすでに40年前からそうだった、ということです。

昭和53年(1978年)10月にNHK特集「警告!! 子どものからだは蝕まれている」という番組が放送されました。この番組は、ある43歳の母親の投書がきっかけだったそうです。「最近の子どものからだはおかしい。私たちの子ども時代に比べ、体格はよくなっているのに、どうもひ弱な感じがする。すぐ息切れし疲労を訴える。(略)」NHKはプロジェクトチームを作り、長年子どものからだについて研究していた正木健雄教授(当時)が所長であった日体大体育研究所等の協力を仰ぎ、初めて「子どものからだの“おかしさ”」という視点から全国調査を行いました。
こちらの本には、番組で放送された調査の分析結果とともに、動物学や人類学、教育学や医学などの分野からの「子どものからだ」に関する見解・提言などがまとめられています。

40年前から、子どもの“生きる力”の低下が問題視されており、子ども自身にとっても、日本の社会にとっても、このまま放置しておいては、大変な事態になると警告しています。40年前から、現場の教師は「このままでは、手足がダメになり、ただしゃべるだけの人間になってしまう」と、その実態を真剣に憂慮していました。

40年前に書かれたものですが、現在にも通じる内容でした。

一つ時代を感じたのは、自宅出産のことを書いた章の中に記録ノートの記載があり、赤ちゃんに「ハチミツ入りの水を飲ませようとするが受けつけない。」という件り。
「昔は今ほど『子どもにハチミツは食べさせてはダメ』と言われていなかった」というお話を、以前聞いたことがあります。1978年当時は「新生児にハチミツはダメ」というのがまだ一般常識ではなかったのでしょう。

ところで、このような「自分たちの子ども時代に比べて、今の子どもは・・・」「自分たちが若いときと比べて、今の若者は・・・」という説は、あらゆるところで起こっています。

そして大概が、今を憂いて「このまま行ったら危ない!」と警告メッセージを伝えています。

これは、永遠のテーマなんでしょうね。

「昔に比べて今は・・」問題は、現存する中国最古の医学書、黄帝内経にもあります。

素問の上古天真論篇第一に、以下のような記述があります。

廼問於天師曰.余聞上古之人.春秋皆度百歳.而動作不衰.
(廼ち天師に問うて曰く。余は聞くに上古の人、春秋みな百歳を度えて、しかも動作は衰えずと。)

今時之人.年半百.而動作皆衰者.時世異耶.人將失之耶.
(今時の人、年百半ばにして、動作みな衰ろうものは、時世の異なるや、人はた、これを失するや。)
 
岐伯對曰.上古之人.其知道者.法於陰陽.和於術數.食飮有節.起居有常.不妄作勞. 故能形與神倶.而盡終其天年.度百歳乃去.
 (岐伯對えて曰く、上古の人、其の道を知る者は、陰陽に法り、術數に和し 食飮に節有り、起居に常有り、 妄りに勞を作さず。故に能く形と神を倶え、而して盡く其の天年を終え、百歳を度えて乃ち去る。)

今時之人.不然也.以酒爲漿.以妄爲常.醉以入房.以欲竭其精.以耗散其眞.不知持滿.不時御神.務快其心.逆於生樂.起居無節.故半百而衰也. 
(今時の人は然(しか)らざるなり。酒を以て漿と為し、妄を以て常と爲す。醉いて以て房に入り、以て其の精を竭さんと欲す。以て其の眞を耗散し、滿を持するを知らず、神を御するに時ならず、務めて其の心を快にし、生きる樂しみに逆らい、起居に節無し。故に百半ばにして衰うなり。) 

昔の人は100歳でも元氣だったのに、今の人は50歳過ぎで衰えるけどどうして?という黄帝の問いに、岐伯が答えています。「節度もって生きろや〜」ということです(かなりザックリ 汗)。
詳しい意訳を知りたい方は、こちらのサイトをご参照ください。

daikei.ichinokai.info

約2,000年前も、昔と比べて「今」を憂いていたんですね〜。

では、一番昔が一番良くて、悪くなっている「今」が延々と続いているのか?、というと、そんな訳でもなく…

これって、人間の性(さが)、というか、DNAにそういう機能がインストールされているのではなかろうか・・・というのが私の妄想です。 

ある年代(個体差があるので、具体的にいくつとは言えない)に達すると、次世代のこと、種の持続性を意識した思考回路をするようになり(自覚無自覚問わず)、「このままではいけない!」的な提言をするようになる。

ある意味この世は、修正点・改善点に溢れており、警告には事欠かない世界です。

そして、この警告メッセージで、何らかに目覚める人も少なからずいる訳で。

そういう目覚めた人たちが一定程度、存在し続けてきたおかげで、今も少しづつ、人という生き物は成長し進化し続けている(はず・・・)。

「憂う」というのは、あまりポジティブ風ではないですが、実はポジティブな効果を生み出してきたんじゃないか、と思った次第です。

前向きに憂うこと、ありでしょう!

ちなみに「子どものからだ」調査は5年ごとに行われていて、最新版は2015年です。こちらから結果をご覧いただけます。
各事象の子どもが「いない」との回答率が100%になった時、もしくは、それに近い値が示された時にその項目を削除する等、1990年調査から“からだのおかしさ”の調査項目の見直し作業を始めているそうですですが、これまで削除された項目はなく、新たな項目が追加されるばかり、とのこと。

子どもたちのからだにとっては憂うべき状況が続いています… 

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いのち磨きのお手伝いいたします、一香堂より。

 

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